雑記帳を書き始めて5年になります。
いまでは14冊目になる雑記帳、1冊目はB6サイズのリングノートでした。蔵前のカキモリさんで作ったノートです。
中身はみっしりと文字で埋め尽くされています。考えを整理するためにひたすらペンを動かしていました。
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考えを紙に書きだすことは以前からやっていましたが、ノートの切れ端やチラシの裏に書いてはすぐ捨てるということが多かったです。自分の考えを書き残すことに漠然とした不安を抱いていました。書いて吐き出したい。そして吐き出したものは残したくないといった気持ちです。
また、書いたものに日付をつけたり、固有名詞や具体的な出来事を書きつけたりすることも苦手でした。すぐ捨てるものであっても、なにか直視したくないというか、複雑な気持ちが湧き上がって躊躇してしまうのです。誰に見せるものでなくても、脳の中にある考えや感情を外に出すのは勇気がいることです。
いまだに、ネガティブな出来事を具体的に書き残すことはありません。書くのは感情だけにしています。
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雑記帳を始める前、書くということの効果というか凄さを感じた経験がありました。
思いもよらない感情に気付かされた経験です。
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当時、なぜかものすごく気が進まないシゴトをしていました。とにかく嫌でした。一緒に取組む仲間がわるいわけでもないし、周囲のサポートもありました。それでも毎日気が重く、なにがこんなに嫌なのか自分でもわかりませんでした。そこで、使いきれなかったノートの切れ端に気持ちを書き始めたのです。
始めはうまくペンが進まなかったように思います。それでも何ページか書いていくにつれ、自分でも驚くことに、「恐い」という単語がたくさん出てきました。恐い、恐い、恐いと。
そのとき初めて「自分は恐がっていたんだな」ということに気づきました。慣れない場所や初めて組む仲間。優しくあたたかい人や場であっても、理屈じゃなくこわいってことあるよね、と自分の奥底に眠る気持ちに気づくことができました。そして、恐がる自分を受け入れこの恐れに大した理由はないと自分で結論づけたことで、前向きにシゴトに取組めるようになりました。
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書くことで思いもよらない感情に気付かされたり、自分でも考えつかなかった結論にたどり着いたりすることがあります。その結論は、自分でみちびき出したものなのでとても納得できるし、ひとりで到達できたという自信にも繋がります。
書く、書き続けるというのは自分を強くしているのかな、と思います。